「テンピンなら合法」は本当?賭け麻雀のルールを行政書士が解説
「テンピン(1,000点100円)以下のレートなら摘発されない」——雀荘業界でよく聞かれるこの話、実は「合法」という意味ではありません。賭け麻雀は金額の多寡にかかわらず違法であり、テンピン以下が見逃されやすいのは、あくまで刑事訴訟法上の運用(起訴猶予になりやすい)の話です。この記事では、雀荘開業に必要な風営法4号許可の基礎知識に加えて、この誤解されやすいレートの合法性、遊技料金の上限規制(風営法第19条)、健康麻雀との違いを行政書士が解説します。
雀荘開業に必要な風営法4号許可
風営法第2条第1項第4号は「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」を風俗営業に区分しています。雀荘(麻雀店)はこの4号営業に該当し、都道府県公安委員会の許可(4号許可)を取らずに営業すると無許可営業になります。
隣接するポーカーバー・アミューズメントカジノ(5号営業)との違いは、遊技設備が最初から遊技専用に作られた「専用機」かどうかです。麻雀卓・パチンコ台のような専用機を使う営業が4号、本来は別用途にも使える汎用の遊技設備を転用する営業が5号、という条文上の切り分けになっています。
「テンピンなら合法」は俗説
雀荘業界で広く語られる「テンピン(1,000点100円)以下のレートなら大丈夫」という話は、法的には誤りです。
刑法第185条は賭博行為を禁止していますが、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」は処罰しないという例外があります。これは、その場で消費する飲食代程度の少額な物を賭ける場合を想定した例外であり、事業として恒常的にレートを設定して金銭を賭けさせる雀荘の営業行為は、この例外に該当しません。
「テンピン以下は摘発されにくい」というのは事実として存在する運用です。ただしこれは、実務上「一時の娯楽の程度」に近いと判断されて起訴猶予(刑事訴訟法上の検察官の裁量)になりやすい、という話であって、「合法」を意味するものではありません。摘発されないことと、違法でないことは別問題です。
遊技料金の上限規制(風営法第19条)
風営法第19条は、4号営業者について「国家公安委員会規則で定める遊技料金…に関する基準に従い、その営業を営まなければならない」と定めています。麻雀店(まあじやん屋)の場合、この基準は遊技料金(客から受け取る利用料金)の上限に関するものです。
料金の上限額は麻雀卓が全自動式かどうか等の条件によって異なる基準が定められています。具体的な金額は国家公安委員会規則(下位規則)で定められ、実務上は管轄の警察署に確認しながら料金体系を設計する必要があります。
賞品提供・営業上の禁止事項
風営法第23条第2項は、まあじやん屋(4号)およびポーカーバー等(5号)の営業者について「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」と定めています。勝敗に応じた景品・現金の提供は、換金の有無にかかわらず禁止されています。
そのほか、風俗営業共通の規制として、深夜(原則午前0時以降)の営業禁止、18歳未満の客の立ち入り禁止があります。
「うちは4号許可が必要か」の判定:健康麻雀・麻雀教室との違い
近年広がっている「健康麻雀」「麻雀教室」は、お金を賭けずに麻雀を楽しむレクリエーション・教育目的の場です。金銭のやり取りが発生せず、遊技料金として席料・時間料金のみを受け取る形態であれば、風俗営業(4号)には該当しないと整理されるのが一般的です。
ただし、名目上「健康麻雀サロン」を名乗っていても、実態として賭け麻雀が行われていたり、勝敗に応じた金品のやり取りがあれば、4号営業として許可が必要になり、無許可であれば無許可営業や賭博罪の問題が生じます。ポーカーバーの判定と同様、名目ではなく実態で判断されるという原則はここでも同じです。
賞金付き麻雀大会の扱い
雀荘やМリーグ系のイベントで見られる「大会」形式にも注意が必要です。
- 優勝賞品を店・主催者が用意する:第23条第2項の「遊技の結果に応じた賞品提供」に該当し、原則NGです。
- エントリー費用を賞金として再分配する:実質的に遊技の結果に応じた金銭のやり取りとみなされ、賭博罪(刑法第185条)のリスクが生じます。
- スポンサー企業が提供する賞品:営業に組み込まれた企画と判断されれば、同様に問題視される可能性があります。
開業までの流れ・行政書士に依頼するメリット
雀荘の4号許可申請では、3要件(人的・場所的・構造設備要件)の確認に加えて、遊技料金の基準を満たした料金設計、管理者の選任など、麻雀店特有の準備事項があります。
大まかな流れは、①物件の用途地域・周辺の保全対象施設(学校・病院等)との距離を事前確認、②営業所の平面図・求積図など申請図面一式の作成、③管轄警察署の生活安全課への事前相談・申請書類の提出、④実査(警察官による現地の構造設備確認)を経て、⑤許可書の交付、という順序で進みます。申請から許可までは標準的に約55日(土日祝を除く)とされていますが、図面の手直しや実査での指摘対応によって前後します。
特に注意が必要なのが遊技料金の設計です。全自動卓かどうかで基準額が変わるため、導入予定の卓の仕様を先に固めてから料金プランを組む必要があります。料金体系を決めてから卓の仕様変更が必要になると、開業スケジュール全体が後ろ倒しになりかねません。
これらの確認・調整を自分だけで進めようとすると、警察署との折衝や図面の再作成に想定以上の時間がかかりがちです。行政書士に依頼することで、遊技料金の基準確認から図面作成、警察署とのやり取りまで一貫して任せられ、開業スケジュールの見通しを立てやすくなります。
雀荘開業をご検討の方は、物件契約前にご相談ください。4号許可の該当性確認から、遊技料金の設計、警察署との事前調整まで一貫してサポートします。
よくあるご質問
Q. テンピン以下のレートなら本当に問題ないのですか?
Q. 健康麻雀サロンは風営法の許可が必要ですか?
Q. 遊技料金はいくらまで設定できますか?
Q. 賞金付きの麻雀大会は開催できますか?
Q. ポーカーバー(5号営業)と規制の違いはありますか?
まとめ
- 雀荘は風営法第2条第1項第4号の「風俗営業」に該当し、4号許可が必要
- 「テンピンなら合法」は俗説。金額にかかわらず事業としての賭け麻雀は違法(摘発の運用と合法性は別問題)
- 遊技料金の上限規制(風営法第19条)は4号営業特有で、5号営業には適用されない
- 健康麻雀・麻雀教室は、実態として金銭を賭けなければ4号許可が不要と整理されるが、実態判断が原則
- 賞金付き大会の運営は賞品提供禁止(第23条第2項)に抵触するリスクが高く、事前相談が必須
※ 本記事の内容は最新の法令に基づいて作成していますが、法令は改正される場合があります。最新情報は管轄の警察署または行政書士にご確認ください。
出典:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条・第19条・第23条(e-Gov法令検索)/刑法第185条


「テンピンだから大丈夫」という説明を鵜呑みにして、営業のルールとして明文化してしまう雀荘オーナーの方が実際にいらっしゃいます。警察が事実上黙認している状態は、いつでも方針が変わり得る不安定な状態です。賭け麻雀を前提にした営業設計そのものを見直すことをおすすめします。