1号〜5号・深夜届出の違いと取り方を行政書士が解説
「この物件で本当に許可が下りるのか、確信が持てない」
「開業日は決まっているのに、いつ許可が出るのか読めない」
「そもそも自分の店が、許可なのか届出なのかが分からない」
キャバクラ・ラウンジ・スナック・ホストクラブ・雀荘・ゲームセンターなどの開業では、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)の手続きが避けて通れません。しかしこの法律は、同じ手続きでも都道府県によって扱いが変わるという、ほかの許認可にはあまりない性質を持っています。
営業できる時間の上限、営業所の近くにあってはいけない施設の範囲、審査期間の数え方——これらはいずれも都道府県の条例や公安委員会の運用で決まります。インターネットで見つけた「○○メートル以内はNG」「申請から55日」という記載が、あなたの店舗の所在地では当てはまらない、ということが普通に起こります。
この記事では、風営法で手続きが必要な7種類の営業を整理したうえで、「都道府県でどこがどう違うのか」という、多くの解説記事が触れていない部分まで踏み込んで解説します。当事務所は風営法を専門とし、全国からのご相談に対応しています。
1. 風営法で手続きが必要な営業は7種類ある
風営法で警察(公安委員会)への手続きが必要になる営業は、大きく分けて7種類です。まずここを整理しないと、必要な手続きを取り違えます。
許可が必要な6種類
風俗営業(第2条第1項第1号〜第5号/許可)
風俗営業は5つの号に分かれており、それぞれ別の種別として許可を取ります。根拠は風営法第3条第1項で、営業所ごとに、その営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません。
| 種別 | 条文上の定義(要旨) | 代表的な業態 |
|---|---|---|
| 1号 | 設備を設けて客の接待をして、客に遊興又は飲食をさせる営業 | キャバクラ、ラウンジ、ホストクラブ、接待を伴うスナック |
| 2号 | 設備を設けて客に飲食をさせる営業で、営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの | 照明を落としたバー |
| 3号 | 設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難で、かつ広さが5平方メートル以下の客席を設けて営むもの | 区画された個室席を設ける飲食店 |
| 4号 | まあじやん屋、ぱちんこ屋その他、設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業 | 雀荘、パチンコ店 |
| 5号 | スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備(国家公安委員会規則で定めるもの)を備える店舗で、客に遊技をさせる営業 | ゲームセンター、アミューズメントカジノ |
このうち1号から3号までをまとめて「接待飲食等営業」と呼びます(風営法第2条第4項)。ホストクラブやキャバクラに対する規制強化が2025年の法改正で行われましたが、その対象はこの「接待飲食等営業」です。
特定遊興飲食店営業(第31条の22/許可)
「ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(酒類を提供するものに限る)」で、午前6時から翌日午前0時までの時間だけで営業を終えないもの——つまり深夜に、酒を出しながら客に遊興をさせる営業です(第2条第11項)。クラブ、ライブハウス、ショーパブなどが該当し得ます。2016年の改正で新設された比較的新しい許可です。
届出で足りる1種類
深夜酒類提供飲食店営業(第33条第1項/届出)
深夜(午前0時から午前6時まで)に、主に酒類を提供する飲食店を営もうとする場合は、営業所ごとに公安委員会へ届出書を提出します。バー、居酒屋、ガールズバーなどが典型です。
許可ではなく届出なので、要件を満たしていれば不許可になるという性質のものではありません。ただし届出であっても営業所の構造・設備の基準(第32条第1項)や、都道府県条例で定められた禁止地域(第33条第4項)の制約は受けます。
デリヘル・メンズエステはこの7種類とは別枠
風営法にはもう一つ、「性風俗関連特殊営業」という区分があります(第2条第5項)。店舗型性風俗特殊営業、無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業などがこれに当たり、デリヘルやメンズエステの出張型はこの区分です。
こちらは上記の7種類とは条文の章が別で、手続きも罰則も別建てになっています。当事務所ではこれらの届出も専門サイトで扱っています。
📎 関連サイト:全国デリヘル届出センター/全国メンズエステ届出センター
無許可営業の罰則は2025年に大幅に引き上げられた
許可を受けずに風俗営業を営んだ場合、風営法第49条第1号により5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(またはその両方)が科されます。法人が営業主である場合は両罰規定により、法人に対して3億円以下の罰金が科され得ます。
これは2025年6月28日施行の改正で引き上げられた水準です。改正前は個人が2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、法人が200万円以下の罰金でした。罰金の上限が法人で150倍になっているという点は、「とりあえず開けてしまって後から」という判断が現実的でなくなったことを意味します。
2. 自分の店はどれに当たる?判定フロー
自分の店がどの手続きに当たるかは、次の3つを順番に確認していくと整理できます。
ステップ1:接待をするか
「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことです(風営法第2条第3項)。
条文はこれだけなので、実務では警察庁の解釈運用基準に沿って判断します。客の隣に座って継続的に会話の相手をする、客の身体に接触する、客と一緒にカラオケを歌ってもてなす、客のためにダンスをするといった行為は接待に当たり得ます。一方で、カウンターを挟んで注文を受けながら世間話をする程度であれば接待には当たらないとされています。
接待をするなら、1号営業の許可が必要です。
なお「社交飲食店」という言葉をよく見かけますが、これは風営法の条文に出てくる用語ではありません。1号営業(接待をする飲食店)を指す行政・業界での呼称として使われているものです。「社交飲食店の許可」と案内されていたら、それは1号営業の許可のことだと考えて差し支えありません。
ステップ2:深夜(午前0時〜午前6時)に営業するか
ここが最も誤解の多いところです。
風俗営業(1号〜5号)は、原則として深夜に営業できません。風営法第13条第1項が「風俗営業者は、深夜(午前零時から午前6時までの時間)においては、その営業を営んではならない」と定めているためです。
つまり「キャバクラの許可を取れば、深夜まで接待して営業できる」わけではありません。同項ただし書により、都道府県の条例に特別の定めがある場合に限り、条例で定める地域・条例で定める時刻まで営業できます。この点は都道府県によって大きく違うため、5章で詳しく整理します。
接待をせず、深夜に主として酒類を提供するだけなら、深夜酒類提供飲食店営業の届出で足ります。届出の場合、接待はできません。
ステップ3:遊興をさせるか
深夜に酒類を提供し、かつ客に「遊興」をさせるのであれば、特定遊興飲食店営業の許可が必要です(第31条の22)。
「遊興」とは、客に不特定の人が参加する遊びやショー等を見せたり参加させたりして楽しませることを指します。DJやバンドの演奏で客を踊らせる、店側が客にゲーム・カラオケ等をさせる、ショーを見せる、といった行為が該当し得ます。
判定を間違えやすい3つのパターン
パターンA:接待をしたいが、深夜も営業したい
条例で深夜営業が許容されている地域でなければ、両方は成立しません。物件の所在地がその地域に入っているかを、契約前に確認する必要があります。
パターンB:「うちはガールズバーだから届出でいい」
カウンター越しの接客に留まっていれば深夜酒類提供飲食店営業の届出で足りますが、キャストが客席側に座って接客する運用に変わった時点で1号営業に該当し、無許可営業になります。摘発事例が多いのはこのパターンです。
パターンC:飲食店営業許可を取ったから風営法の手続きは不要
飲食店営業許可(食品衛生法・保健所)と風営法の許可・届出は、まったく別の手続きです。両方が必要になります。
パターンBは、開業時点では本当に届出で正しかったというケースが多いところが厄介です。売上を伸ばそうとして接客スタイルを変えた、店長が代わって運用が変わった、常連客の要望に応えた——きっかけは営業努力であって、法律を破るつもりはありません。
ただ風営法は「店がどう名乗っているか」ではなく「実際に何をしているか」で判断します。営業のやり方を変えるときは、その変更が許可の要否に触れないかを一度確認してください。
3. 許可の3要件(人的・場所的・構造設備)
風俗営業許可は、次の3つの要件をすべて満たす必要があります。根拠は風営法第4条で、条文は「次の各号のいずれかに該当するときは、許可をしてはならない」という書き方(不許可事由の列挙)になっています。
要件1:人的要件(第4条第1項)
申請者本人や、法人の場合はその役員に、次のような事情があると許可されません(主なものを抜粋)。
- 成年被後見人・被保佐人、復権を得ない破産者
- 1年以上の拘禁刑に処せられ、執行を終わった日等から5年を経過しない者
- 風営法違反その他一定の罪(わいせつ、売春防止法、児童買春・児童ポルノ、労働基準法違反等)で罰金以上に処せられ、5年を経過しない者
- 集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤の中毒者
- 過去に風俗営業の許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
2025年の改正では、この欠格事由に親会社・子会社等のグループ法人が許可を取り消された場合の他のグループ法人が追加されました。名義を替えて営業を続けるという抜け道を塞ぐ趣旨の改正です。
過去に処分歴・前科がある場合の考え方は、8章で詳しく扱います。
要件2:場所的要件(第4条第2項第2号)
条文は「営業所が、良好な風俗環境を保全するため特にその設置を制限する必要があるものとして政令で定める基準に従い都道府県の条例で定める地域内にあるとき」は許可をしてはならない、と定めています。
ここが「都道府県の条例で定める」となっている点が重要です。具体的にどの用途地域が対象になり、学校や病院からどれだけの距離が制限されるかは、都道府県ごとに条例で決まっています。詳しくは4章・5章で扱います。
要件3:構造設備要件(第4条第2項第1号)
営業所の構造・設備が、風俗営業の種別に応じて国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合していなければなりません。こちらは条例ではなく国家公安委員会規則なので、全国共通の基準です。
1号営業では、たとえば次のような点が問題になります。
- 客室の床面積(1室あたりの下限、客室が1室のみの場合と2室以上の場合で扱いが異なる)
- 客室内に見通しを妨げる設備(衝立、間仕切り等)を設けていないこと
- 善良の風俗を害するおそれのある写真・広告物等を設けていないこと
- 客室の出入口に施錠設備を設けていないこと
- 定められた照度を確保できる照明設備を有すること
図面と実際の内装が一致していないと、実地調査(実査)でやり直しになります。内装工事の設計段階で基準に合わせておくのが最も手戻りが少ないのは、この工程があるためです。
内装業者さんが風営法の基準に詳しいかどうかで、この工程の難易度が大きく変わります。ナイトビジネスの施工経験が豊富な業者であれば、こちらが指摘する前に基準を満たした設計が出てきます。
一方、一般の飲食店を主に手がけている業者の場合、衝立や間仕切りで席の独立感を演出する設計が上がってくることがあります。デザインとしては良いのですが、風営法上はやり直しです。図面が固まる前の段階でご相談いただければ、この手戻りは防げます。
要件4(実質):管理者を選任できること
条文上は第4条第2項第3号で「営業所に第24条第1項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由があるとき」は許可できないとされています。管理者は営業所ごとに1人選任が必要で、未成年者や人的要件に触れる者は管理者になれません(第24条第2項)。
4. 許可が下りるかは「場所」でほぼ決まる
3つの要件のうち、あとから直せないのが場所です。人的要件は時間の経過で解消することがあり、構造設備は工事で直せますが、場所は物件を変えるしかありません。
そして物件は、たいてい契約が先に進んでしまいます。「内装工事も終わって、あとは申請だけ」という段階で場所的要件に引っかかっていることが判明すると、投じた費用が回収できません。相談の中で最も痛ましいのがこのパターンです。
確認するのは主に2つ
① 用途地域
都市計画法上の用途地域のうち、住居系の地域では風俗営業を営めないのが一般的です。商業地域・近隣商業地域なら概ね可能とされますが、どの用途地域をどこまで認めるかは都道府県の条例で定められており、一律ではありません。
用途地域は市区町村の都市計画課の窓口や、自治体が公開している都市計画情報のウェブサイトで調べられます。
② 保全対象施設との距離
学校、図書館、児童福祉施設、病院、診療所(患者を入院させる施設を有するもの)などの敷地から一定の距離の範囲内では、風俗営業を営めません。これらの施設を「保全対象施設」と呼びます。
ここで注意すべき点が3つあります。
- 距離の数値が都道府県ごとに違う
- 対象になる施設の種類・定義も都道府県ごとに違う(たとえば専門学校が対象になるかどうかは条例次第です)
- 距離の測り方(敷地の境界からか、建物からか、直線距離か経路距離か)も運用で異なる
インターネット上には「学校から100メートル以内はNG」といった記載が多く見られますが、それはその記事を書いた事務所の所在地の条例の話である可能性が高いと考えてください。5章で実際の条例の違いを示します。
さらに、施設は「これから建つ予定」のものも対象になり得ます。条文上、保全対象施設の敷地には「これらの用に供するものと決定した土地を含む」とされているためです。現地を歩いて確認するだけでは足りず、自治体側の計画も確認する必要があります。
「決定した土地を含む」の一文は見落とされがちですが、実務上はここが盲点になります。今は空き地でも、そこに保育所や児童福祉施設が建つことが決まっていれば、対象施設として扱われ得るということです。
逆の順序、つまり自分が先に許可を取って営業していて、後から近くに対象施設ができた場合は、既存の営業がただちに違法になるわけではありません。風営法第8条が許可の取消事由として挙げているのは第4条第1項(人的要件)に該当した場合などで、第4条第2項の場所的要件は取消事由に含まれていないためです。とはいえ、移転や許可の取り直しが必要になる場面では影響します。「今の状況」だけでなく「これから」まで見ておく必要があるのは、こうした事情があるためです。
だから「物件契約前」に調べる
当事務所では、物件を契約する前の段階での無料診断を行っています。物件の所在地をお送りいただければ、その都道府県の条例に基づいて、用途地域と保全対象施設の状況を確認してお伝えします。
契約後に判明した場合と契約前に判明した場合では、取れる選択肢がまったく違います。迷っている段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
5. 【重要】都道府県でここまで違う
風営法の解説記事はたくさんありますが、そのほとんどは特定の都道府県の運用を前提に書かれています。地域密着の事務所が自分の県の話を書いているためで、それ自体は正確な情報です。問題は、読者がそれを全国共通のルールだと受け取ってしまうことです。
ここでは、実際にどこがどう違うのかを3つの軸で整理します。
違い①:深夜に営業できる時刻
前述のとおり、風俗営業は原則として午前0時から午前6時までは営業できません(第13条第1項)。ただし同項ただし書により、都道府県の条例に特別の定めがある場合は、条例で定める地域内に限り、条例で定める時刻まで営業できます。
たとえば愛知県の条例では、この「条例で定める時」を午前1時と定めています。そして接待飲食等営業について、午前0時以後の営業が許容される地域を、条例で指定した特定の地域に限定しています。つまり愛知県内であっても、指定地域の外にある店舗は午前0時までしか営業できません。
栃木県の条例では、午前0時以後の営業が許容される地域を「宇都宮市の商業地域のうち公安委員会規則で定める地域」に限定しています。県内で1つの市の一部だけが対象という構造です。
愛媛県の条例では、対象地域を市ごとの区域として別表で列挙しています。
さらに第13条第2項は、都道府県が条例で追加の営業時間制限を課すことも認めています。栃木県はこれを使って、4号営業(まあじゃん屋を除く。パチンコ店等)について県内全域で午前9時前および午後11時以降の営業を禁止しています。
つまり、同じ業種・同じ許可でも、営業できる時間は都道府県と地域によって変わります。「深夜1時まで営業する前提の収支計画」が、その物件では成立しないことがあります。
違い②:保全対象施設の範囲と距離
条文が「都道府県の条例で定める地域」と委任しているため、ここは条例を見に行かないと分かりません。実際の条例を比べると、書き方そのものが違います。
栃木県の条例は、学校・図書館・児童福祉施設・病院・患者を入院させる施設を有する診療所の敷地の周囲から100メートルを超えない範囲内で、周辺の風俗環境を勘案して業種ごとに公安委員会規則で距離を定めるという構造です。つまり100メートルは上限で、実際の距離は業種別に規則を見る必要があります。
京都府の条例は、一部の営業について「児童福祉施設・病院・診療所の敷地からの距離が70メートルを超える地域」を営業可能な地域として定める、という逆向きの書き方をしています。
愛知県の条例は、3月以内の期間を限って営む営業や移動して営む営業について、学校・幼保連携型認定こども園・保育所・病院・診療所の敷地の周囲30メートルの範囲内としており、営業形態別に別建ての基準を置いています。
数値だけでなく、列挙される施設の種類も条例ごとに異なります。「学校」に何が含まれるかは学校教育法第1条に規定する学校を指すのが基本ですが、条例が独自に対象施設を追加している場合もあります。
違い③:審査期間の数え方
風俗営業許可の審査期間は「55日」と説明されることが多く、この数字自体は各都道府県の公安委員会が公表している標準処理期間として広く用いられています。
ただし、ここには2つの誤解があります。
誤解1:55日は法律で定められた数字ではありません。
風営法には標準処理期間を定めた条文はありません。標準処理期間の根拠は行政手続法第6条で、同条は「行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは(中略)公にしておかなければならない」と規定しています。
つまり標準処理期間は、定めること自体が努力義務であり、その内容は各行政庁が決めるものです。「風営法○条で55日と決まっている」という説明を見かけることがありますが、そのような条文はありません。
誤解2:土日祝を数えるかどうかが都道府県で違います。
同じ「55日」でも、土日祝を含めて数える県と、含めずに数える県があります。埼玉県は含めて数え、東京都は含めないという説明をしている事務所があり、逆に「土日祝日を含めて55日」と説明している事務所もあります。事務所によって説明が分かれるほど、扱いが統一されていないということです。
土日祝を除いて55日だと、実際には約2.5か月かかります。含めるなら約1.8か月です。この差はスケジュールを組むうえで無視できません。
加えて、55日の起算点は「申請書を持って行った日」ではなく「受理された日」です。書類に不備があると受理されず補正を求められるため、その期間はカウントに入りません。
「早くしてください」というお願いで審査が短くなることはありません。標準処理期間は行政側が公表している目安であり、警察が個別の事情で縮めるものではないからです。
実質的に早く許可を得る唯一の方法は、一度目の提出で受理されることです。補正のやり取りが1往復入るだけで、1〜2週間は簡単に消えます。逆に言えば、書類と図面が完璧であれば、公表されている期間より早く許可が出ることもあります。ここは準備の質がそのまま日数に跳ね返る工程です。
この記事の存在理由
こうした都道府県差は、地域密着で営業している事務所にとっては書く動機がありません。自分の県のことだけを正確に書けば十分だからです。
当事務所が全国対応で情報を整理しているのは、「調べた情報が自分の県では当てはまらない」という事故が、実際に開業計画を壊しているのを見てきたからです。物件の所在地さえ分かれば、その都道府県の条例に基づいた確認ができます。
6. 費用の目安
風俗営業許可にかかる費用は、①公安委員会に納める申請手数料と、②行政書士に依頼する場合の報酬の2つに分かれます。①は行政書士に依頼しても自分で申請しても同額です。
① 申請手数料(公安委員会に納めるもの)
| 区分 | 手数料 |
|---|---|
| 1号〜5号営業(ぱちんこ屋等を除く) | 24,000円 |
| ぱちんこ屋等(認定遊技機のみの場合) | 25,000円 |
| ぱちんこ屋等(検定遊技機がある場合) | 27,800円(+検定遊技機の台数×40円) |
風営法第43条は、都道府県が「政令で定める額を徴収することを標準として条例を定めなければならない」としています。つまり額の標準は政令で全国共通ですが、実際に徴収する額は各都道府県の条例で定められているという建て方です。上記は複数の都道府県警察が公表している金額ですが、正確な額は管轄警察署で確認してください。
なお、同じ営業所で複数の種別を同時に申請する場合、2件目以降が減額される制度を設けている都道府県があります。
深夜酒類提供飲食店営業の届出には、申請手数料の定めがありません。風営法第43条が手数料の対象としているのは第3条第1項の許可等であり、第33条第1項の届出は含まれていないためです。
② 当事務所の報酬(税込)
| 手続き | 報酬 |
|---|---|
| 風俗営業許可(1号/キャバクラ・ラウンジ・スナック・ホストクラブ等) | 198,000円〜 |
| 風俗営業許可(4号/雀荘等) | 198,000円〜 |
| 風俗営業許可(5号/ゲームセンター・アミューズメントカジノ等) | 220,000円〜 |
| 深夜酒類提供飲食店営業の届出 | 88,000円〜 |
| 飲食店営業許可 | 50,000円〜 |
| 変更届(営業者・管理者等) | 33,000円〜 |
| 特定遊興飲食店営業の許可(クラブ・ライブハウス等) | 別途お見積り |
金額に幅があるのは、営業所の規模・図面作成の難易度・物件の状況によって作業量が変わるためです。ご相談の段階で総額をお見積りしてお伝えし、その後に増額することはありません。
③ 見落としやすい費用
許可申請そのもの以外に、次の費用が発生します。
- 飲食店営業許可の申請手数料(保健所。自治体により異なる)
- 食品衛生責任者の資格取得(講習受講料。既に有資格者がいれば不要)
- 各種証明書の取得実費(住民票、身分証明書、登記事項証明書等)
- 法人の場合は定款・登記事項証明書の取得費用
- 測量・図面作成に関わる実費
費用でご相談が多いのは「安いところに頼んで大丈夫か」という点です。正直に申し上げると、書類を作って提出するだけの作業であれば、料金の差はそれほど結果に影響しません。差が出るのは、その前段です。
物件が場所的要件を満たしているかを契約前に確認できたか、図面が一度目で受理される水準になっているか、営業方法が接待に当たらないかを事前に整理できているか。ここを飛ばすと、報酬を数万円節約した代わりに、内装のやり直しや開業の1か月遅れという形で跳ね返ります。金額だけでなく、どこまで見てくれるのかを比べていただくのが良いと思います。
7. スケジュールと逆算の考え方
前半で触れたとおり、標準処理期間の55日は「受理された日から処分までの目安」です。ここを起点に逆算すると、開業までの全体像が見えてきます。
「55日で開業できる」は誤りです
多くの方が誤解されるのが、この点です。55日は審査だけの期間であって、その前に必要な準備期間が別途かかります。
| 工程 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 物件の場所的要件の調査 | 数日〜1週間 | 契約前にやるべき工程 |
| ② 物件契約・内装設計 | 2週間〜1か月 | 風営法の構造設備基準を織り込む |
| ③ 内装工事 | 1か月〜 | 規模により大きく変動 |
| ④ 飲食店営業許可の取得 | 2〜3週間 | 風営法の申請と並行可能 |
| ⑤ 必要書類の収集 | 2〜3週間 | 本籍地が遠方だと郵送で時間がかかる |
| ⑥ 測量・図面作成 | 1〜2週間 | 内装完成後に実測するのが確実 |
| ⑦ 申請・受理 | — | 不備があると受理されない |
| ⑧ 審査(標準処理期間) | 55日 | 土日祝の算入は都道府県で異なる |
| ⑨ 実地調査(実査) | 審査期間中 | 図面と現況の一致を確認 |
| ⑩ 許可通知・許可証交付 | — | 通知を受けた日から営業可能 |
③〜⑥は並行して進められます。内装工事と書類収集・飲食店営業許可の取得を同時に走らせれば、申請までの準備期間は1か月〜1か月半程度に収まります。ここに審査の55日を加えると、動き出しから開業まで約3か月が目安です。
ただしこれは工程がうまくかみ合った場合の目安です。土日祝を除いて55日を数える都道府県では審査だけで約2.5か月かかり、内装工事が大規模な場合は準備期間も伸びます。開業予定日から逆算するときは、3か月をぎりぎりの下限として、できれば余裕を持って動き出してください。
逆算のポイントは「受理日」を固定すること
開業予定日が決まっている場合、逆算の基準になるのは申請日ではなく受理日です。書類に不備があれば受理されず、その分だけ後ろにずれます。
つまりスケジュールを守るために最も効くのは、一度目の提出で受理されることです。ここは前半のコメントでも触れたとおりです。
家賃の発生タイミングに注意
物件を契約した時点から家賃は発生しますが、営業は許可が下りるまで開始できません。この空白期間の家賃は、開業資金として最初から見込んでおく必要があります。
内装工事の期間も含めると、家賃3か月分程度が売上ゼロのまま出ていく計算になります。ここを見込んでいなかったために、開業直後から資金繰りが厳しくなるケースは珍しくありません。
ご相談で一番多いのが「もう物件を契約してしまった」という段階です。そこから逆算すると、家賃が発生している状態で3か月近く待つことになります。
ただ、契約済みでも打てる手はあります。飲食店営業許可を先行させる、内装工事と書類収集を完全に並行させる、実測のタイミングを工事の進行に合わせて前倒しする——工程の組み替えで2〜3週間短縮できることは実際にあります。
逆に、許可が下りる前に営業を始めてしまうのは絶対に避けてください。無許可営業は前半で触れた第49条第1号の対象で、2025年の改正後は個人でも5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金です。1か月分の家賃と引き換えにするリスクではありません。
8. 過去に処分歴がある場合(欠格事由)
「過去に捕まったことがある。それでも申請できるのか」——これは相談の中でも特に切実なご質問です。
結論から申し上げると、前科があること自体で一律に許可されないわけではありません。風営法第4条第1項の条文を、期間と罪種の2つの軸で確認する必要があります。
判断の軸1:刑の重さ
条文は「1年以上の拘禁刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者」を欠格としています。
つまり罪種を問わず、1年以上の拘禁刑を受けた場合は、執行終了等から5年が欠格期間です。逆に、この期間を過ぎていれば、この号による欠格には当たりません。
判断の軸2:罪種
1年未満の拘禁刑または罰金刑の場合は、罪種によって扱いが変わります。条文が列挙しているのは主に次のような罪です。
- 風営法第49条・第50条第1項の罪(無許可営業、名義貸し等)
- 刑法のわいせつ関係の罪、略取・誘拐関係の罪
- 組織的犯罪処罰法の一定の罪
- 売春防止法第2章の罪
- 児童買春・児童ポルノ禁止法第4条から第8条までの罪
- 労働基準法・職業安定法・児童福祉法・入管法・労働者派遣法の一定の罪
これらに該当する罪で罰金以上に処せられた場合は、5年の欠格期間があります。列挙されていない罪種で1年未満の拘禁刑または罰金刑だった場合は、この号には当たりません。
そのほかの欠格事由
- 過去に風俗営業の許可を取り消され、取消しの日から5年を経過しない者
- 集団的または常習的に暴力的不法行為等を行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- アルコール・麻薬・大麻・あへん・覚醒剤の中毒者
- 法人の場合、役員のうちに上記に該当する者があるもの
2025年の改正では、親会社・子会社等のグループ法人が許可を取り消された場合の他のグループ法人が追加されました。
法人での申請という選択肢とその限界
「自分が欠格に当たるなら、法人を作って申請すれば」と考える方がいます。しかし条文は法人の役員についても同じ欠格事由を適用しているため、自分が役員に入っていれば同じ結果です。
そして役員から外れて実質的に経営する形にすると、名義貸しの禁止(風営法第11条)に触れます。名義貸しは第49条第3号の罰則対象で、無許可営業と同じ「5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金」の水準です。ここは抜け道になりません。
このご相談をいただくとき、多くの方が「言ったら断られるだろう」と考えて、最初は伏せられます。ですが先に教えていただいたほうが、確実にご本人の利益になります。
理由は2つあります。ひとつは、条文を確認すれば「該当しない」と分かるケースが実際に多いこと。もうひとつは、該当する場合でも、欠格期間が明けるまでの時期をどう使うか、共同経営者の立て方をどう整理するかといった選択肢を、早い段階でなら検討できることです。
申請してから発覚すると、時間も手数料も戻ってきません。ご相談の内容は行政書士法上の守秘義務の対象です(行政書士法第12条)。安心してお話しください。
9. 自分で申請する場合との違い
風俗営業許可は、ご自身で申請することもできます。行政書士への依頼が法律上の義務ではありません。
そのうえで、どこに手間と難しさがあるのかを正直に整理します。
自分でやる場合の実際の負担
| 工程 | 難易度 | 内容 |
|---|---|---|
| 場所的要件の調査 | 高 | 都道府県条例の読解が必要。用途地域と保全対象施設の両方 |
| 構造設備基準の確認 | 中 | 国家公安委員会規則の基準と実際の内装の照合 |
| 測量・図面作成 | 最も高い | 求積図・平面図・照明配線図等。縮尺と求積の作法がある |
| 書類収集 | 低〜中 | 手間はかかるが難しくはない。本籍地が遠方だと時間がかかる |
| 警察署との協議 | 中 | 平日日中の来署が必要。補正のやり取りが複数回になることも |
最大の壁は図面です。求積図は客室・調理場等の面積を計算根拠とともに示すもので、決まった作法があります。手書きでも受理はされますが、寸法と求積が合わないと補正になります。
もうひとつの負担は平日日中の時間です。警察署の生活安全課は平日のみの対応で、補正が入れば都度出向くことになります。内装工事の立ち会いや資金調達と重なる時期にこれが入ると、実務上かなりの負担になります。
依頼したほうがよいのはこういうケース
- 開業日が決まっていて、遅れが許されない
- 物件をまだ契約していない(場所的要件の事前確認で最大の価値が出る段階)
- 過去に処分歴があり、欠格事由の判断に不安がある
- 平日日中に警察署へ何度も行くのが難しい
- 図面を自分で描く見込みが立たない
実際のところ、ご自身での申請はかなり難しい手続きです
制度上は本人申請ができる手続きですが、実際にご自身で完結できる方は多くありません。理由は、難しい工程が1つではなく、性質の違う難しさが同時に重なるためです。
図面は作図の技術の問題です。条例の読解は法令解釈の問題です。警察署との協議は平日日中の時間の問題です。これらは互いに代替できません。図面が描けても条例が読めなければ物件の判断ができず、両方できても平日に動けなければ補正のやり取りが進みません。
そして開業準備の時期は、内装工事の打ち合わせ、資金調達、スタッフの採用、集客の準備が同時に走っています。その中で最も専門性が高く、かつ最も失敗のコストが大きい工程を自分で抱えることになります。
補正が1往復入れば1〜2週間、場所的要件の確認を誤れば内装工事のやり直しです。報酬を節約した分が、開業の遅れという形で戻ってこないのは、この構造のためです。
時間に十分な余裕があり、物件が明らかに要件を満たしていて、平日日中に何度でも動ける——この条件がすべて揃っているのであれば、ご自身での取得は不可能ではありません。そうでなければ、専門家に任せて、ご自身は本業の準備に集中されるのが結果的に早く、安く済みます。
ご相談は無料です。ご自身でやるか依頼するかを決める前の段階でも構いません。まずは物件の所在地と開業予定日をお知らせください。
10. 全国対応の進め方
当事務所は大阪に事務所を置いていますが、風俗営業許可のご相談は全国から承っています。
窓口と責任は当事務所が一貫して持ちます
ご相談の受付、要件の判断、書類の作成、進行の管理、警察署とのやり取りの方針決定——これらは一貫して当事務所が担当します。ご依頼者様の窓口が途中で変わることはありません。
現地対応が必要な工程
一方で、風俗営業許可には現地でなければできない工程があります。
- 営業所の実測
- 図面と現況の照合
- 管轄警察署での協議・申請
- 実地調査(実査)への立ち会い
これらについては、地域に応じて出張して対応するか、各地の行政書士と連携して対応します。どちらの形になるかは所在地によって変わります。
都道府県によって進め方が変わります
ここまで見てきたとおり、風営法は営業時間の上限、保全対象施設の範囲、審査期間の数え方が都道府県ごとに違います。同じ「風俗営業許可」でも、必要な確認事項と段取りは所在地によって変わります。
だからこそ、まずは物件の所在地をお知らせください。その都道府県の条例に基づいて、何を確認すべきか・どういう段取りになるかをお伝えします。
11. 選ばれる理由/FAQ/まとめ
当事務所が選ばれている理由
1. 総額を明示し、後から増額しません
ご相談の段階で総額をお見積りしてお伝えします。着手後に追加費用を請求することはありません。
2. LINEで24時間受付、原則当日回答
LINEでのご相談は24時間受け付けています。回答は原則として当日にお返しします。
※回答時期は原則の目安です。ご相談内容により翌営業日以降となる場合があります。
3. 物件契約前の無料診断
物件の所在地をお送りいただければ、用途地域と保全対象施設の状況を無料で確認します。契約前の段階でご相談いただくことが、最も費用対効果の高いタイミングです。
4. 風営法を専門に扱っています
風俗営業許可のほか、性風俗関連特殊営業の届出(無店舗型性風俗特殊営業・メンズエステの出張型)についても専門サイトを運営し、実務として取り扱っています。
📎 関連サイト:全国デリヘル届出センター/全国メンズエステ届出センター
よくあるご質問
Q. 風俗営業許可に有効期限や更新はありますか。
Q. 許可はいつから営業できるようになりますか。
Q. 店名を変えるだけでも手続きは必要ですか。
Q. 用途地域が住居系でしたが、例外はありませんか。
Q. 深夜酒類提供飲食店の届出をしていれば、接待もできますか。
Q. 逆に、風俗営業(1号)の許可があれば深夜まで営業できますか。
Q. 管理者は自分(経営者)が兼任してもよいですか。
Q. 大阪以外の物件でも対応してもらえますか。
まとめ
- 風営法で手続きが必要な営業は7種類。許可6種類(風俗営業1号〜5号・特定遊興飲食店営業)と届出1種類(深夜酒類提供飲食店営業)
- 判定は接待の有無 → 深夜営業の有無 → 遊興の有無の順に確認する
- 許可の要件は人的・場所的・構造設備の3つ。あとから直せないのは場所だけ
- 営業時間の上限・保全対象施設の範囲・審査期間の数え方は、都道府県ごとに違う。ネット上の数値をそのまま自分の物件に当てはめないこと
- 標準処理期間の55日は風営法の条文ではなく、行政手続法第6条に基づいて各公安委員会が定めた目安。起算点は受理日
- 「55日で開業できる」は誤り。準備期間を含めると約3か月を見込む
- 前科があること自体で一律に許可されないわけではない。期間と罪種の2軸で条文を確認する
- 無許可営業は2025年6月28日施行の改正で罰則が大幅に強化され、個人5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金
物件を契約する前の段階でのご相談が、最も選択肢が多く残っているタイミングです。迷っている段階でも構いませんので、お気軽にLINEでお声がけください。
ヒューマンアップ行政書士事務所は、風営法の許可・届出を専門に、全国対応でご相談を承っています。
✅ 総額を明示し、後から増額しません
✅ 物件契約前の無料診断
✅ LINEで24時間受付・原則当日回答
※ 本記事の内容は最新の法令に基づいて作成していますが、法令は改正される場合があります。最新情報は管轄の警察署または行政書士にご確認ください。


「うちは小さい店だから狙われない」と考える方は少なくありません。ですが今回の改正は、個人の店を摘発するためというより、組織的に無許可営業を回している事業者に対して金額で歯止めをかけることが狙いです。結果として、規模を問わず同じ条文が適用されます。開業のスタート地点で許可を取っておくかどうかが、後から取り返せない差になります。