「マンションの一室でメンズエステを始めたいが、これは違法にならないのか」――開業を考えている方からも、すでにマンションで営業している方からも、同じ不安をよく耳にします。
インターネット上には「バレることはほとんどないから、普通のマンションで営業してしまって大丈夫」といった趣旨の情報も見受けられます。
しかし、これはかなり危険な情報です。判断を誤ったまま営業を続けると、刑事罰の対象になりかねません。しかも該当する罰則は2025年(令和7年)の法改正で大幅に引き上げられており、決して軽いものではありません。皆様が安心して経営を続けられるよう、行政書士の立場から正しい判断基準を解説します。
1. マンション型メンズエステは違法か?
結論から言うと、マンションで営業すること自体が一律に違法というわけではありません。違法かどうかを分けるのは「マンションかどうか」ではなく、性的サービスを提供しているかどうかです。
性的サービスを提供していない、いわゆる健全なリラクゼーション業であれば、風営法の届出そのものが不要です。この場合、マンションの一室を施術ルームとして使うこと自体は風営法上の問題にはなりません。
一方、性的サービスを伴う場合、マンションの一室に客を迎える「店舗」として営業しようとすると、風営法上「店舗型性風俗特殊営業」に該当します。この業態は、禁止区域規制の対象施設(学校・病院等)が都市部に非常に多いことに加え、現在営業している店舗の多くは規制導入前からの既得権(経過措置)で続けているにすぎず、新規に開業すること自体が実務上ほぼ不可能というのが実情です。詳しくは次章で解説します。
性的サービスの有無による区分の全体像は、柱記事「【全国対応】メンズエステ開業の届出は必要?|違法営業にならないための注意点」で詳しく解説しています。
2. マンションを「店舗」として客を迎える場合
客がマンションの部屋に直接来店し、その部屋で性的サービスを受けるという形態は、風営法上「店舗型性風俗特殊営業」に該当します。
店舗型には次のような規制がかかります。
- 届出義務:店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、営業所ごとに公安委員会への届出が必要です(風営法第27条)
- 禁止区域規制:学校・図書館・児童福祉施設・病院等(保全対象施設)の敷地の周囲おおむね200メートル以内は営業が禁止されており、具体的な禁止区域は都道府県の条例で定められています(風営法第28条第1項・第2項、各都道府県の施行条例)
学校・病院・図書館などの保全対象施設は都市部の住宅街や商業地域に非常に多く、それらを避けた立地を新たに見つけること自体が困難です。加えて、現在営業している店舗型性風俗店の多くは、風営法の適用前・条例改正前から営業していたことによる経過措置(既得権)で営業を続けているケースがほとんどで(風営法第28条第3項等)、新規に届出を出して合法に開業するのは実務上ほぼ不可能というのが実情です。
店舗型性風俗特殊営業は、新規開業自体が構造的に難しい業態だと理解しておく必要があります。
3. 2025年の法改正で、罰則が大幅に引き上げられた
禁止区域で性風俗特殊営業を営んだ場合の罰則は、2025年(令和7年)の法改正で大幅に引き上げられました。
- 改正前:2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金の水準
- 改正後:5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(またはその両方)(風営法第49条第5号・第6号)
- 法人:両罰規定(風営法第57条)により最大3億円以下の罰金
この水準は、禁止区域外での単純な無届出(風営法第52条、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)とは比べ物にならないほど重く、マンションで店舗型営業を続けるリスクは、以前よりも格段に大きくなっています。
だからこそ、「マンションで客を迎える店舗」という形にこだわらず、出張型(無店舗型性風俗特殊営業第1号)への開業・切り替えを検討することが、これまで以上に現実的な選択肢になっています。
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4. 「バレなければ大丈夫」という情報について
マンション型メンズエステを紹介する記事の中には、「無許可物件で営業していてもバレるケースは稀」「気にせず普通のマンションで営業してしまいましょう」といった趣旨の内容も見られます。
こうした情報には、少なくとも2つの見落としがあります。
- 行政法規上のリスクと契約上のリスクは別問題。バレなかったとしても、賃貸マンションであれば管理規約・用途制限(住居専用としての賃貸借契約)に反する営業行為自体が契約違反となり、退去や違約金請求の対象になり得ます
- 罰則が引き上げられた今、リスクの大きさが以前とは違う。前章で見たとおり、禁止区域での営業は最大で5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金(法人は3億円)の対象になり得ます。「稀だから大丈夫」という前提そのものが、以前にも増して楽観的すぎるものになっています
5. すでにマンションで営業している方へ:まず確認すべき1点
新規開業だけでなく、すでにマンションで営業を始めている方からのご相談も少なくありません。この場合、まず確認すべきは性的サービスを伴っているかどうかです。
- 性的サービスを伴わない場合:風営法上の届出は不要です。現在の営業形態を続けても、風営法上の問題にはなりません
- 性的サービスを伴う場合:客が部屋に直接来る店舗としての営業は、前章までで説明したとおり違法営業に該当し、罰則も引き上げられています。この場合、店舗としての形を続けるのではなく、出張型(無店舗型性風俗特殊営業第1号)へ切り替えて届出をすることを検討するのが現実的な選択肢です
「今のやり方のままで合法にできるのか」「営業形態を変える必要があるのか」は、個々の実態によって判断が分かれます。早めに専門家に状況を確認することをおすすめします。
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6. 正しい進め方:まず自分の営業実態を正確に把握する
ここまでの内容をまとめると、次のように整理できます。
- 性的サービスを伴わない健全なリラクゼーション業であれば、風営法の届出自体が不要
- 客が部屋に来る店舗としての利用は、店舗型性風俗特殊営業に該当し、新規開業は実務上ほぼ不可能。しかも違反した場合の罰則は2025年改正で大幅に引き上げられている
- 性的サービスを伴う営業を行いたい場合は、出張型(無店舗型性風俗特殊営業第1号)としての届出を検討するのが現実的
「マンションで客を迎える形にこだわらない」ことが、リスクを抑えながら合法に営業を続けるための現実的な出発点です。
7. まとめ
- マンションで客を迎える「店舗」としての営業は店舗型性風俗特殊営業に該当し、新規開業は実務上ほぼ不可能です
- 禁止区域での営業に対する罰則は2025年の法改正で大幅に引き上げられており(5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、法人は最大3億円)、違法営業のリスクは以前より格段に大きくなっています
- 性的サービスを伴う営業を行いたい場合は、出張型への切り替えを検討するのが現実的な選択肢です
- 「届出をすれば合法」「バレなければ大丈夫」という単純化した理解は避け、正確な区分を確認したうえで進めることをおすすめします
届出が必要かどうかご不安な方は、全国メンズエステ届出センターの無料相談をご利用ください。
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よくある質問(FAQ)
Q. マンションの一室で開業しても届出は出せますか?
Q. 今住んでいる賃貸マンションで営業しても大丈夫ですか?
Q. すでに届出をせずに営業していますが、今から届出はできますか?
Q. 摘発される可能性はどのくらいありますか?
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※ 本記事の内容は最新の法令に基づいて作成していますが、法令は改正される場合があります。最新情報は管轄の警察署または行政書士にご確認ください。

